彼の一日は日の出と共に始まる。
パイプハウスに入るとき、彼は茄子に「おはよう」と挨拶をする。
朝は収穫と出荷作業だ。
出荷先はほぼ全量農協である。
こういった地域で農業を営むということは基本的にはそういうことだ。しかしそれは決して進歩的でないことを意味するわけではない。
午後は主に圃場の管理を行う。枝の剪定や葉欠き、追肥や水遣りなどやるべきことはいくらでもある。
彼は犬や猫を数匹飼っている。かわいい彼らは全て雑種である。
時には私のように彼の圃場に興味を持ったものが来場する。彼は栽培について詳しく説明をするが、理解できる人は多くはない。しかし、彼はまたその人が来れば、繰り返し説明をする。
日暮れまで茄子と会話をする。